寝独立記念日
待ちに待った連休は、木曜日の段階で暗雲の彼方で霞んでしまった。
なんと2年ぶりに風邪。38℃くらいだから、日本にいた頃クオータリーで39℃の
熱を出していた俺にとっては大したこと無いはずなんだけど、久々だとやっぱり
応えた。
会社は休めるはずも無く。風邪引いてるのがばれると帰れといわれるので
元気に振舞った。やな元気を振りまいていたことだろう。でも久々の風邪で、
弱くなった自分にかなり自己愛を感じてしまった。
昔から怪我したり風邪引いたりすると、必要以上にアピールして、人目を引く
ことに命を掛けていた俺です。
で、7月4日。みんながここぞとばかりに町へ山へ海へと繰り出している中、
僕は布団で汗びっしょりかいてうんうん唸ってた。
まだまだ日の明るい午後4時、少しだけ気分が良くなった。昔よくやった
荒治療を思い出し、長湯して風邪菌を汗で搾り出してしまう作戦に出た。
これが実に良く効いて、飯が食えるまで回復したら最後に1時間位風呂に
つかるとたいてい良くなる。はずだったんだけど、やっぱり30超えるとこういう
のは効かないみたい。のぼせて素っ裸で貧血おこしてぶっ倒れました。
どこかでドカーンと何かが倒れる音。気づくと俺が倒れた音。
むかし体にたまった悪いものを出そうと、へとへとになった体を2時間くらい
漬けたことがあった。このときも脱衣所に立った瞬間、遠くで激しくものが
壊れる音を聞いたと思ったら、自分が掃除機と一緒にすごい体勢でぶっ倒れて
た事があった。このときは元気だったバーちゃんに恥ずかしい体勢を見られて、
二重の心の傷を負ったのだが、今回は一人だったからまだ良かった。
長湯はいけません。
それにしても、気を失うのはなぜにかくも恍惚で、印象深いものなのでしょうか。
俺は生まれてから今回を入れて5回気絶してますが、全ての情景を良く覚えて
います。
一回目は柏の小学校のジャングルジムからおっこった時。
時分で保健室まで歩いたみたいだけど、そこは記憶喪失。
二回目は強烈なセンタリングを頭で合わせた多摩川河川敷。
三回目は自宅のベッドで寝返りを打ったその眼前にゴキブリがいた時。
このときは疾風の様に飛び起きて、母親の眠る隣の部屋に駆け込んで、
絶叫とともに気絶した。
まぁそんな感じ。
気絶つながりで思い出したので徒然なるままに書きますが、、、
友人のTは、高校の時よく気絶していた。
高校時代のTは、というか普通は高校に行ってる時分のTは、酒も飲めないのに
無鉄砲にクラブで飲みまくる良くない癖を持っていた。
一発目は青山にあったミックスというクラブで、18にも満たなかった僕らはとても
可愛がられる年齢層の少し高い場所だった。
その日の彼はとても楽しかったのかとてもつまらなかったのか、今となっては不明
だけれど、とにかく飲んでいた。ジントニック1杯くらいは飲んでいた。当時の彼に
とっては致死量といっても過言ではない。
そんな彼が便所にいるとは露知らず、トイレ待ちしながらタバコを吸ってた。
ダンスホールから少し離れているので、人の声が聞こえるくらいな場所だけど、
それを差し引いても異常なくらいハッキリと、女のひとの悲鳴が聞こえたのは
やっと飲み物にありついたそのすぐ後だったと思う。
野次馬一番乗りで、悲鳴の聞こえたその場所、男女共用の広いほうのトイレ
に駆け込むと、モザイク柄のトイレの床に、見事に大の字でうっぷしてるTを
発見した。
青山通りまで引っ張り出して一息ついた彼は、悲鳴を聞いてまず、うるせー
と叫んだそうだ。自分の声で正気を取り戻した彼は、モザイク柄を眼前に
見て、こんな絨毯だったかな、俺んち。と思ったそうだ。
彼はその後、原宿のグラス(だったかな?)でも綺麗に気絶した。
俺は『その時』を目撃した。壮絶だった。
ここは先ほどの場所とは一味異なり、同年代の所謂たちの悪いクソガキが
集まってて、怖い人もたくさんいる場所だった。
例によってTが良くない兆候を見せ始めていたので、とりあえず外に出そうと、
手を引いて人混みを掻き分けて歩いていると、いつの間にかT氏の重みを
感じなくなっていた。
やばい、と思って後ろを振り返ったときにはすでに遅く、必死に倒れないように
歩くTを遥か後ろに発見した。こいつを良く知る僕には、ただの酔っ払いが
最後の力を振り絞って歩いていると分かったが、傍目には肩をイカらせて
我が物顔で人混みを掻き分けているようにしか見えない。
おそらく良く見えていないであろう目は据わってて、よく見えていないからこそ、
絶対に近寄っちゃいけなさそうなお兄さんたちが陣取るテーブルに、悠然と
アプローチしていた。
上目使いで肩で風を切りながら歩み寄ってくる小柄なTを視界に捕らえたその
男たちは、瞬時に戦闘モードに切り替わったように見え、僕はダッシュしてT氏を
救出に向かったのである。が、一歩遅かった。
半腰で立ち上がった男たち。
歩みを止めないT。
運動神経抜群なTは、そこで思いもかけないアクションを取った。
受身なし。直立不動から90度。腰も曲げず膝も曲げず。ジャッキーですら
尻込みするようなきわどい体勢で、長髪タンクトップ刺青の男共が集うテーブル
にダイブを決めたのである。
スローモーション。僕の目にはその様が余りにも衝撃的で、そう見えた。
彼は無防備にテーブルの角に顔面の一番高い鼻梁を強かに打ちつけ、それでも
止まらずに、またしても地面に叩きつけられた。
強面たちも、一瞬の、そして想像もつかなかったであろう事態に直面して、呆然。
僕ともう一人の友人はTを抱え上げ、悠然とその場を立ち去った。それは敗者の
逃走ではなく、勝者の花道に見えたことだろう。
思いがけない重労働と緊張で、どっと腹が減った僕らは、意識を取り戻したTを
吉野家に連れ込んだ。大盛りつゆダクを注文し、感嘆の言葉と忠誠の誓いを
我らが勇者に贈ろうと、顔面を正面から見つめると、彼の鼻梁は美しい曲線を
描いて、90度に限りなく近い明後日の方向を指していた。
人間限界を超えると、あまり人様に自慢できない事態に陥るのです。
程々に生きるのが人の道。
話が完全に脱線しましたが、体調が回復した今日は、嫁さんを連れて海に。
膝腿だけど形の良いライトを満喫して、体力の限界超えてしまいました。


最近のコメント